京の絵草紙屋満天堂 空蟬の夢(『このミス大賞』シリーズ)

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著書紹介

京の絵草紙屋満天堂 空蟬の夢

あらすじ

侍としての名前と過去を捨て、京で暮らす戯作者・月夜乃行馬。
懇意にする板元の満天堂書林で京の名所図会を執筆する行馬は、女絵師の冬芽が描く、哀しき想いを秘めた美しい絵に惹かれていく。
同じ頃、行馬の仲間だった侍たちが、行馬が持っているはずの妖刀を振るう辻斬りに遭った、との報せが入る。
自分を騙った下手人を探る行馬はやがて、故郷で起きていたある悲劇を知ることに…。

著者コメント

この小説を書き始めた頃、眼科で緑内障の診断を受けました。このままだと、いずれ失
明すると言われ、初めて「目が見えなくなる」ことを意識しました。
幸い早期発見だったので、目薬の治療だけで落ち着いています。視力を失って行く絵師、
冬芽は、それがきっかけで思いついた登場人物です。

この物語は、一人の男の「罪と罰」がテーマになっています。罪とは何か?罰とは何
か?許されるとはどう言うことなのか?
刺客を役目としていた御刀屋清一郎は、領主が代替わりをした折に罪を問われ、故郷を
追われます。許嫁であった八重とも引き離され、京へ流れついた彼は、そこで月夜乃行馬
の名で物書きの道を歩むことになります。

挿絵を描いたのが、女絵師、冬芽。その縁から、二人は互いに弾かれ合って行きます。
平穏な京での暮らしの中で、己の過去を忘れて生きる御刀屋清一郎……。
ところが、そこにかつて刺客仲間であった横田源之丞が現れ、彼は人殺しであった頃の
己と、再び向き合うことになるのです。

この小説を書きながら、私は「死刑制度」について考えていました。「生と死」、そして
命について。これらは、ずっと私の中にテーマとして存在しています。私自身、それらを
考えるために、物語を書いているように思えるのです。

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