「狂花一輪 ―京に消えた絵師―」

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著書紹介

狂花一輪 ―京に消えた絵師―

あらすじ

叔父の許で成長した若き藩士、木島龍吾の目は、生まれながらに色を見る力を持っていなかった。その龍吾に、先代藩主は、実の父、兵庫の捜索を命じる。兵庫は出奔後、京で水墨画の絵師浮島狂花として生きていたが、贋作事件を起こして、行方知れずになっていた。狂花の弟子たちを訪ね歩くうちに、龍吾は事件に隠された真相と、狂花の絵の中にある真実を見抜く。それは、兵庫が龍吾と同じ目を持つ証でもあった。

著者コメント

人の目は「物を見る」ためにの器官です。多分そうだ、とずっと思っていました。ところがある日、「見る」のではなく、「映す」のではないか、と考えるようになりました。

 いったい、何が違うのか? 

「見る」のは、「脳」だからです。目は情報としてありとあらゆる物を脳に映し出す。目を空に向ければ、おそらく、遠い宇宙の星々を。そればかりか、微細な気体、分子とか量子までも……。

それらの情報を瞬時に整理して、必要な物だけを見せているのが、脳なのではないか。ならば、目には常識としてあり得ないモノも映っている筈。脳が勝手に処理をして、見せないようにしているだけなのかも知れません。

 人それぞれの脳の個性によって、同じ物を見ているようで、実は違っているのかも……。

 もし、この世の色が見えなかったとしたら、どんな世界になるのでしょう。水墨画を見るような感じなのでしょうか。

 でも、それはそれで、きっと美しい世界なのだろう、と私は思うのです。

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