一応、「縁見屋シリーズ第二弾」ということになっています。が、元々は、「怖絵師の娘」として、貴和を主体にした、「続縁見屋」として考えていました。「縁見屋の娘」を知らなくても面白く読めて、知っていれば、なお楽しい。
結局、テーマが「生と死」にまで踏み込んでしまい、随分大それたことをしてしまったと、悩みました。本当に難題でした。
二〇一八年に、私は還暦を迎えました。確実に片足を棺桶に突っ込んでいる自分を考えた時、やはり「生」、「死」、「命」、「魂」は、天から与えられた課題のように思えます。
「この世」も「あの世」も一つの世界の中にある。「色即是空、空即是色」は、私の書く小説の根底を流れる、まさに「川」というべき物。その水を清く保つことが、修行なのかも知れません。
大体、小説を書いているというより、いつも何かに書かされているような気がしています。なので、私は自分を「神様のパソコン」と呼びます。
――「作家」と書いて「シャーマン」とルビを振る――
しばしば口にするジョークですが、本心でもあります。
二十代続く神主の家に生まれたのも、そう感じる理由かも知れません。霊能力はないけれど(見えないので)、霊媒体質では、あるらしく……。